2021-05-28 第204回国会 参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第12号
今から三年前になりますが、消費者契約法改正案について、法案提出時に消費者委員会の答申には盛り込まれていなかった社会生活上の経験に乏しいという新しい要件が加えられ、保護の対象が狭まれる一方で、答申が求めた平均的損害額の立証責任への推定規定が法案には盛り込まれないなど、消費者保護の面で後退し、答申時のこの当時の消費者委員会委員長である河上正二氏が遺憾の意を表明するという異例の事態が生じました。
今から三年前になりますが、消費者契約法改正案について、法案提出時に消費者委員会の答申には盛り込まれていなかった社会生活上の経験に乏しいという新しい要件が加えられ、保護の対象が狭まれる一方で、答申が求めた平均的損害額の立証責任への推定規定が法案には盛り込まれないなど、消費者保護の面で後退し、答申時のこの当時の消費者委員会委員長である河上正二氏が遺憾の意を表明するという異例の事態が生じました。
いまだに、平均的損害額の立証責任の推定規定導入や、より一般的な付け込み型勧誘への取消し権についての取組は不十分ではないでしょうか。これらに対する見解をお聞かせください。
現行の消費者契約法では、解約時に事業者の平均的損害額を超える請求をされた場合は無効とされていますが、平均的な損害額の立証は、こちらも事業者ではなく、消費者側に求められています。しかし、立証に必要となる資料は事業者側にあるものなので、立証が困難なのが実情です。
○福井国務大臣 平均的損害額の立証責任でございます。 今先生おっしゃるように、立証責任を転換することにつきましては、消費者契約法専門調査会における検討ではコンセンサスが得られませんでしたが、これは先ほど申し上げたとおりでございます。したがって、改正事項として提案されなかったものでございます。
次に、先ほど言った、余計なものが一つ、不足するものが二つ、そのうちの一つが、専門調査会で議論されたにもかかわらず今回先送りされた、キャンセル料に関する平均的損害額の立証の困難さの緩和についてということであります。 昨年、これはネット上で話題になっていたんですけれども、世田谷区の居酒屋で学生団体が百三十人の宴会をドタキャンした、こういうのが載っていました。
まさに平均的損害額の議論がなされたときに私どもの会員に伺いましたときに、先生御指摘のとおり、立証責任がまるっきり転換されてしまう中で、営業秘密とかあるいは企業秘密に当たるようなところをどうやって確保すればいいんだろうかというのが議論になっていたところでございまして、そこは大きな懸念点というふうに認識しております。
次に、平均的損害額の立証に関する推定規定についてお尋ねがございました。 平均的な損害の額の推定規定を設けるに当たり、消費者契約一般に通ずる事業の内容の類似性判断の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、改正事項とはしなかったものでございます。推定規定を設けることに関しては、引き続き検討を進めてまいります。
平均的損害額の立証に関する推定規定についてお尋ねがございました。 平均的な損害の額の推定規定を設けるに当たり、消費者契約一般に通ずる事業の内容の類似性判断の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、改正事項とはしなかったものでございます。
しかし、平均的損害額を算定する根拠資料が事業者から提示されない現状を鑑み、専門調査会で対応策が検討されました。その検討によると、消費者が、事業の内容が類似する同種の事業者に生ずべき平均的な額を推定した場合には、その額が当該事業者に生ずべき平均的損害額とすることが取りまとめられましたが、本改正案では盛り込まれておりません。